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東欧の春の訪れを告げる「マルツィショール」とは?

2025/2/28

3月1日を迎えるにあたりワタシの幼少期の思い出「マルツィショール」についてわかち合いたいと思います・・・。

これは、東欧のなかでも極めて限定された地域にしか根付いていない伝統文化になります。縦長い日本の国土からして、北海道など雪国にお住まいの方にとって、春の訪れは待ち焦がれていた季節になります。

同じ緯度に当たる東欧圏の国々(ルーマニア、ブルガリア、モルドバなど)の方にとっても、その想いは同様で、春の訪れを喜び合うマルツィショールのお祭りが、近年、ユネスコ無形文化遺産に登録されたとのこと。

3月1日の朝を迎え、目覚めてキッチンに行くと食卓には紅白のマルツィショールが置かれていました。父は、小さなバスケットにスノードロップいっぱい入れてプレゼントしてくれていました。

さて、「ここでマルツィショールって何?」と疑問の方が大半だと思われるので説明するね。

 

マルツィショールとは

マルツィショールは、長い冬を終えた3月1日に春の訪れを祝うために、親類、近所の方々、友人、知人に幸運の象徴であるお守りを贈り合う風習を指します。その特徴は必ず紅白の紐を組み合わせていて、伝統ではスノードロップ(松雪草)、四つ葉クローバー、鍵、ハート、花、ミツバチ、てんとう虫、小動物などをモチーフにしつらえます。


それを、御守りのようにして2~3日の間、胸の前にブローチのように付けて過ごすと喜びや幸運をもたらすと信じられています。

わが家では前日から母と準備を進めて、翌日の3月1日にはぞれを学校に持っていき先生や友人へ手渡し。帰宅後は、近所でお世話になっているおば様たち、親戚の叔母に渡すのが習わしでした。*ワタシの場合、親戚のおば様にお小遣いをもらえるのも楽しみのひとつだった(^'^)

ここで、基本となるポイントは、マルツィショールは必ず女性に渡すということ!

つまり、男性から女性へ。そして女性から女性へと。なので、クラスの男子生徒のなかには、クラス中の女生徒全員へ渡す子もいて、聞くところに依るとその子のお母さんは準備が大変だったみたい・・・。ワタシは、女生徒同士で交換したりして、お互い見せ合って楽しんでました。

アンナおばあちゃんや母が昔つけていたお気に入りの古いマルツィショール

少し大きくなり思春期に差し掛かると、恋愛感情を抱いた男の子が意中の女の子へと渡すといった青春エピソードも事欠かせません。

こういった春の訪れを待ち焦がれて、紅白の絹や紐を編み込み、それぞれのモチーフに結び、胸にブローチのようにしてすごす。それを学校や街中で見かけると、「わぁ~春が来たんだ~」と感じたものです。

追伸:

来日してはじめて驚いたのは、入学式や卒業式など日本でも節目となるお祝いごとに紅白幕を見かけたこと。同じシーズンで、国を超えても似たような現象を目にして懐かしくもあり嬉しくて、何かホッと安心したなぁ。

アディナのオーガニックキッチン~ダイナミックステラ~
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